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循環・3Rシンポジウム

12月 14, 2015

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『循環・3Rシンポジウム』

 

みなさん、こんにちは! J.FECの ” T ” です。今回は少し長くなってしまいますが、最後までお付き合いいただければと思います。

去る10/30(金)、東京都の墨田区で「循環・3Rシンポジウム」が開催され、J.FECからも社長の髙橋が事例発表者・パネリストとして参加しました。この日のプログラムは基調講演・事例発表・パネルディスカッションの3部構成で、今回ご紹介するのは基調講演と事例発表の部分となります。

環境省、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット(以下「元気ネット」)、3R活動推進フォーラム主催で行われたこのシンポジウム。テーマは『食品ロス・食品リサイクルの最新動向と各主体間の連携を考える』ということで、国や地方自治体といった行政関係からNPO、民間企業等まで幅広い方々が参加されていました。人数的には行政関係の方が多めかな、という印象。では、いよいよ開会です。

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開会前の会場の様子。発表者を含めると80名以上が参加

まずプログラムの第1部は環境省の田中室長による基調講演「食品ロスと食品リサイクルの最新動向」。この講演の中で田中室長が強調されていたのは、食品廃棄物は誰もが日常生活の中で出してしまうものだけれど、だからこそリデュース・リサイクルの効果は大きい。飼料化・肥料化等の高度なリサイクルが可能な資源でもあり、環境負荷の低減や自給率の向上にも有効である、ということでした。
うーん、確かにそうですよね。私自身、仮にも食品リサイクルを手掛ける会社にいる人間ですが、この前冷蔵庫の中を見たらニラが溶けていました。もったいない……。まずはこういう無駄を減らしつつ、それでも出てしまった廃棄物はリサイクルに回すという意識を持たなければと思います。

その他、食品廃棄物のリデュース・リサイクルに関する全体像から細部に至るまでいろいろなお話があったのですが、全て書いていくとブログというより議事録になってしまうので割愛。ここからも基本的にトピックのいくつかを抜粋してご紹介するような形になります。

 

続いての第2部は事例発表ということで、具体的な取り組みを行っている当事者自ら語るコーナー。高橋社長は4名の発表者中2番目の登場です。

最初に話してくださったのは、新潟県長岡市の茨木環境部長。新潟だけどイバラキです、というキャッチーな自己紹介で会場が笑いに包まれました。
発表の中心は長岡市の生ごみバイオガス化事業。回収した生ごみをメタン発酵処理し、発生するバイオガスを発電に利用するものです。65t/日の処理能力があり発酵残さ(残りかす)もセメント会社に燃料として売却できるため無駄がありません。これによりごみ焼却量が減少し、焼却施設の統廃合によって15年間で35億円のコストを削減できるそうです。
ただし、ただこういう施設をつくるだけではなく、下水処理施設や焼却施設など、連携して動く施設を全て近くにおいてスタートできるような環境があったからこそうまく動いた、とおっしゃっていました。また、生ごみを出しやすく・回収しやすくするための施策も欠かせないとか。その場所に合ったやり方で、かつ協力を得やすいようなシステムをつくることが大事なんですね。

http://www.city.nagaoka.niigata.jp/kurashi/cate08/biogas/
詳細はこちらから(長岡市HP)。図や写真などもありわかりやすいです。

 

そして次に登場したのが、われらがJ.FECの髙橋社長。演題は「日本フードエコロジーセンター(J.FEC)の食品リサイクル・ループ構築」です。

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発表中にこっそり撮影

発表の内容はこのホームページと重なるところも多いので、宣伝を兼ねて一点だけ。
J.FECのエコフィードで育ったブランド豚はこちらでご紹介している「優とん」「旨香豚」のほかに、実はもう一つあるんです。その名は「ちゅのとん」。神奈川県立中央農業高校の畜産部の生徒さんがJ.FECのエコフィードを使って生産した独自のブランド豚です。お歳暮商品としてハンバーグギフトセットにもなっているんですよ((株)高島屋・(株)利恵産業・J.FECの共同開発)。
小田急百貨店の優とんギフトと合わせて、以下にご紹介しています。ちょうどお歳暮の時期ですので、よろしければぜひどうぞ。

中央農業高校&富岳館高校&スーリエのハンバーグセット

乳酸発酵飼料育成豚「優とん」(①ハム2種とフランクのセット、②しゃぶしゃぶセット)
① http://shop.odakyu-dept.co.jp/shop/g/g1011520074/
② http://shop.odakyu-dept.co.jp/shop/g/g1011520071/

 

13時過ぎに始まったシンポジウム、だいたい1時間半ほどが経ちました。会場も熱を帯びてきたところで、3番目の発表者である長野県松本市の羽田野課長補佐の登場です。
テーマは「松本市における食品ロス削減の取り組み」だったのですが、これが面白かった。先ほどの長岡市の茨木さんもそうでしたが、とにかく話し方が上手くて引き込まれます。何度も会場で笑いが起きていました。

発表の中身としては、まず「残さず食べよう!30・10運動」について。外食版と自宅版があって、「外で食事をするときは、乾杯後の30分間とお開き前の10分間は自分の席で料理を味わいましょう」「家では毎月30日に冷蔵庫の中身を使い切り、10日には今まで捨てていたもので料理を作ってみましょう」という呼びかけです。食品ロス削減が目的のこの取り組み、今では複数の自治体で行われていますが、最初に始めたのは松本市なんだとか。

また、市民への啓発活動、特に園児への環境教育の有効性についてお話しされていたのが印象的でした。対象である園児はもとより、保護者の意識や行動に与える影響が大きいんだそうです。確かに子供に「もったいないよ!」なんて言われると恥ずかしいですもんね。統計データを多用しての説明は説得力がありました。

https://www.city.matsumoto.nagano.jp/shisei/kankyojoho/syokuhin_loss.html
詳細はこちらから(松本市HP)。取組みがわかりやすくまとめられています。

 

さて、次が事例発表としては最後の方。元気ネットの鬼沢事務局長です。鬼沢さんは先日の『J.FEC ミラノ万博とイタリア食の視察8日間』にも参加してくださった方で、いつも大変お世話になっています。今回の発表テーマは「3Rの推進と主体間の連携強化について」でした。

元気ネットさんは「暮らし・地域から出るごみ(環境負荷)に生活者・NPOとして責任を持ち、持続可能な社会づくりに貢献したい」という意識の下、様々な主体と連携するネットワークの構築に取り組んでいるNPOです。今回は排出されるゴミの大きな部分を占める紙ごみと生ごみの削減に向けて、それぞれの地域の市民リーダーを育成する事業の紹介がありました。2015年度は新たな市民リーダーの育成に入り、スタート時の市民リーダーは指導役になってもらうことができたと嬉しそうにおっしゃっていたのが印象的でした。「地域リーダーは、循環型地域をつくる繋ぎ手の役割」というお話もあり、時間としても場所としてもまさに“つながっていく”という感じですね。

http://www.genki-net.jp/
元気ネットさんのホームページはこちらから。活動報告などが見られます。

本当はこのあと休憩をはさんでパネルディスカッションがあったのですが、長くなってしまいましたので、上でも書いたように今回は割愛させていただきます。

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本文では触れられませんでしたが、パネルディスカッションはこんな様子

以上、シンポジウムの様子をご紹介しました。いかがでしたか?

パネルディスカッションも含めて発表者の皆さんがおっしゃっていたのは、とにかく「伝えること」「コーディネートすること」の大切さでした。地域性に合ったシステムをつくり、メリットとデメリットをちゃんと説明したうえで最終的に「やった方が良い」と思ってもらえなければなかなかうまくいきませんよね。自分としても工場見学に来られた方にご説明する機会があったりするので、これまで以上に“伝える”ことを意識していきたいと思います。

それでは今回はこのあたりで。お読みいただき、ありがとうございました!